個人再生について
個人再生とは、裁判所の監督の下、債務の一部免除や長期の弁済条件などを組み込んだ再生計画を作成し、無理なく借金を返済していく制度です。
住宅資金特別条項という条項を再生計画に組み込むと、住宅ローンは従前の条件で支払を続けつつ、それ以外の高利の借金を大幅減額できる手続もあります。
個人再生手続は他の手続きより要件が厳しく、誰しもが利用できる手続ではありませんが、住宅を残した上で、借金を大幅に減額できるというメリットがあります。事案によりますが、5分の1に減額されることもあります。
個人再生の流れ
(1)弁護士から業者に受任通知書を発送
受任通知が業者に届いたら、業者からあなたへの取立てが止まります。
(2)個人民事再生を申立
申立書を作成し、裁判所に提出します。
(3)再生手続を開始
裁判所が個人民事再生手続きの開始を決定します。
将来、実際に返済をしていくことができるかどうかを判断するため、手続中は履行テスト
(返済予定金額を1ヶ月ごとに積み立てていくこと)を行います。
(4)再生計画案を作成
再生計画案を作成し借金免除額、残りの借金額を検討します。
(5)再生計画案を提出(小規模個人再生の場合)
再生計画案を裁判所・業者に提出します。
(6)書面決議
業者から再生計画案に反対である旨の意見が出た場合には、
別途弁護士と打ち合わせをした上で対応策を検討します。
(7)再生計画の認可
裁判所が認可し、確定することにより手続は終了します。
(8)返済を開始
裁判所に申立後、約半年後から返済が始まります。
個人再生のメリット・デメリット
個人再生のメリット
・取立てが止まります。
・住宅ローン特則を利用すれば、マイホームを手放さなくて済みます。
・利息制限法による引き直し計算により、残元本の減額が行われます。
・過払い金の返還も場合によっては可能です。
個人再生のデメリット
・ブラックリストに登録されます。
但し、金融機関のキャッシュカードは作れます。
・官報に掲載されます。
但し、一般の人が官報を見る機会はあまりありません。
グレーゾーンとは
グレーゾーンとは、利息制限法と出資法の間の金利のことを言います。
金銭消費貸借における民法上の上限金利は、以下のように利息制限法で定められています。
元本 金利
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%
一方、出資法という法律では、貸金業者が上限利率29.2%を超えた場合に刑事罰(5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科)の対象になると定められています。
利息制限法を守らなくても、罰則規定はありません。
貸金業者は、出資法を守っていれば罰則を受けることはないので、これを利用して利息制限法を上回った金利で貸付をしてきたのです。
しかし、利息制限法を上回る金利による貸付は違法という最高裁の判決が出た後、グレーゾーン金利にあたる部分の金額を取り戻すことが簡単になったのです。
取手駅前法律事務所
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